817系3000番代に関する車両配置などの分析と予想
2011年12月16日に発表されたJR九州の来春のダイヤ改正概要に、新番代となる817系3000番代などの情報が出ています。817系に、ロングシートで2両編成の2000番代と、同じく3両編成の3000番代が登場します。製造本数はそれぞれ6編成と5編成です。設計最高速度はどちらも120km/hですが、運転最高速度はそれぞれ100km/hと120km/hです。
ダイヤ改正の概要は「平成24年春ダイヤ改正について」に出ていて、詳細はPDFの「【別紙】平成24年春ダイヤ改正.pdf」にあります。
福北ゆたか線博多口朝ラッシュの編成の変化
別紙のPDFの中の817系新番代の情報には、通勤・通学時間帯の福北ゆたか線を中心に運転し、混雑緩和を図ります。
とあります。また、具体的な両数と定員の表を下に引用しています。
【福北ゆたか線 博多7時~8時台到着列車(普通・快速)の輸送力増強】 種別 始発 博多着 両数 定員 改正での変更内容 改正後 改正前
との増減合計 7,310 740 普通 直方 7:05 6 740 180 車両増(4両を6両) 普通 折尾 7:17 7 890 40 一部を新型車両(ロングシート)に変更 普通 直方 7:42 6 760 40 普通 折尾 7:56 7 930 80 普通 篠栗 8:13 6 740 180 車両増(4両を6両) 普通 直方 8:22 6 840 100 全車両を新型車両(ロングシート)に変更 普通 篠栗 8:29 4 520 40 一部を新型車両(ロングシート)に変更 普通 折尾 8:38 6 760 40 普通 篠栗 8:46 6 760 40 普通 篠栗 8:55 3 370 0
両数と定員の情報から、改正前後での車両の変更は以下の表のようになることがわかります。新番代の定員は公式PDFの内容からわかり、他の編成の定員はWikipediaの各項目と下記の個人ページを参考にさせていただきました。
http://itreni.net/jnrkeishikipage/ec/ec415/jnrec415_1500.html
行 | 編成 | 両数 | |
---|---|---|---|
改正前 | 改正後 | ||
1 | 415 | 813×2 | 4→6 |
2 | 817×2+813 | 817の1本を2000番代に変更 | 7 |
3 | 817×3 | 817の1本を2000番代に変更 | 6 |
4 | 817×2+813 | 817の2本を2000番代に変更 | 7 |
5 | 1行目の編成で運行 | 4→6 | |
6 | 813×2 | 817-3000×2 | 6 |
7 | 2行目から813を切り離して運行 | 4 | |
8 | 817×3 | 817の1本を2000番代に変更 | 6 |
9 | 3行目の編成で運行 | 6 | |
10 | 813×1 | 変化なし | 3 |
上表の列車に充当される各編成の増減
817系2両 クロスシート | -5 |
817系2両 ロングシート | +5 |
813系3両 クロス・ロング | ±0 |
817系3両 ロングシート | +2 |
415系4両 ロングシート | -1 |
- 813系が充当される列車が残り、これをロングシートの817系3000番代で置き換えるわけではないことがわかります。また今回の表中では充当数は増減なしです。
- 817系2000番代は6編成中5編成が表中の列車に充当され、残りは1編成になります。これは福北ゆたか線の他の列車に充当されるか予備でしょう。
- 817系3000番代は5編成中2編成が表中の列車に充当され、残りは3編成になります。1編成が予備としても、2編成が残ります。
- 性能が低くスジが寝る415系は、朝ラッシュの博多口を走らなくなるのがわかります。
- この表の全体の結果だけを見ると、817系3000番代の2編成で415系の1編成本を置き換えているかたちになります。
817系の運転最高速度について
新製投入される817系2000番代と3000番代とでは運転最高速度が異なり、それぞれ100km/hと120km/hになっています。817系には他に0番代、1000番代、1100番代がありますが、これらも設計最高速度は120km/hですが実際には100km/hまでしか出しません。福北ゆたか線から快速運転で小倉まで直通する列車が多く運転されていた時期は、100km/hまでしか出さない817系と120km/hまで出す813系とでは所要時間が異なり、時刻表からでも判別することができました。
設計最高速度より低い100km/hまでしか出さない815系と817系は、高速走行時の揺れを減らすヨーダンパを取り付けておらず、ネジ穴などがあるだけの取り付け準備工事のままになっています。このことから、運転最高速度が120km/hの3000番代にはヨーダンパを取り付けると思われます。これは、キハ200系が設計最高速度が110km/hであるものの実際には100km/hまでしか出さないのでヨーダンパを取り付けていないと公表されていたこととも矛盾しません。
817系新製投入に関する車両転配属の予想
ダイヤ改正の概要に出ていない部分で大幅な両数増などはないと考えられることから、817系のクロスシート2両編成が余ることになります。2両編成の2000番代は6編成が新製されるので、これが直方に配置されて同数が転属するでしょう。2両ワンマン運転ができる電車で最も旧いのは717系で、在籍は鹿児島車両センターに6編成だけなので同数で置き換えると予想します。
福北ゆたか線から鹿児島本線に乗り入れて小倉・門司港まで直通する列車があるので、運転最高速度が120km/hの813系と817系3000番代を優先的にこれらの列車に充当すると予想します。
さて、ここからは415系の置き換えの観点から見ていきましょう。鹿児島本線ではラッシュ時を中心にロングシートの415系が走行していて、特に朝ラッシュ下りでは、普通・快速で最長の12両で走っています。鹿児島本線には転換クロスシートの813系が増備されてきましたが、ロングシートの415系よりは輸送力が低く、415系を置き換えるためにはいずれロングシートの車両を製造する必要が出てきます。今回新製される817系3000番代はロングシートで輸送力が高く、また鹿児島本線の主力813系と同じ3両編成であることから、将来的に415系の置き換えなどに使われる可能性があります。
次は3両でワンマン運行ができる車両と線区の観点から見ていきましょう。JR九州の交流区間で3両ワンマン運転が行われているのは、福北ゆたか線の直方-博多間と、日豊本線の小倉-中津間だけです。福北ゆたか線では直方運輸センターの813系が3両でワンマン運転を行っていて、今回新製される817系3000番代も同様にワンマン運転を行うはずです。一方で日豊本線の場合は南福岡車両区の813系1000番代と1100番代でワンマン運転を行っていて、早朝・深夜に南福岡からの送り込みがあるため、踏切事故などで鹿児島本線が止まると影響を受けてしまいます。またワンマン化の前のデータイムでは、ロングシートの415系4両での運行だったのですが、ワンマン化で転換クロスシートの813系3両になり輸送力が落ちています。
南福岡からの送り込みをなくすには門司港運転区に3両ワンマン運転が可能な車両を配置するのがよく、ワンマン列車の混雑緩和の観点からは817系3000番代にするのがよいでしょう。門司港からでは日豊本線にも福北ゆたか線にも直通列車が走っているので、817系3000番代を配置するにはいい場所です。今回の改正では817系3000番代は門司港所属で福北ゆたか線を中心に走行し、来年度以降の改正からの増備で日豊本線にも投入されると予想します。
また今回の817系3000番代の新製で、415系の福北ゆたか線への乗り入れ、特に単線区間を含む直方-博多間への乗り入れはなくなると予想します。5編成中2編成で博多口の415系1編成の置き換えと両数増を行い、さらに1編成で残りの415系1編成を置き換えます。残りは予備を含めて2編成なので、この内の1編成で直方運輸センターの813系200番代1編成を置き換えると予想します。直方所属の813系には1編成だけ、中間車が転換クロスシートの200番代があり、これを置き換えて南福岡に転属と予想します。
予想のまとめ
- 817系2000番代2連6本は直方運輸センターに配置・福北ゆたか線を走行
- 817系3000番代3連5本は門司港運転区に配置・福北ゆたか線を走行
- 817系1000番代2連6本が直方運輸センターから他へ転属。直接か玉突きで鹿児島車両センターに817系2連6本が転属して同数の717系を置き換え。717系は廃車・保留車のみに。
- 直方運輸センター所属の813系100番代・500番代はそのまま直方運輸センター所属のまま。中間車が転換クロスシートの200番代1編成だけは南福岡に転属。
- 415系の福北ゆたか線乗り入れはなくなる。残ったとしても黒崎-直方間だけで単線区間には入らない。
- 来年度以降に817系3000番代が追加で新製され、門司港運転区所属で日豊本線のワンマン列車に充当。
- 福北ゆたか線から小倉・門司港まで直通する列車は、ヨーダンパ装備の813系・817系3000番代中心になる。
というわけで、予想を当てたことのない人の車両転配属予想でした。
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