厳しすぎる規則と安全-走行中の無線連絡に関して
かなり前のことになるが、久留米のMaxモデルに行った時に、西鉄大牟田線の朝倉街道駅手前で急行電車が一旦停止し、その後駅に入ってくるということがあった。その電車に乗ってかぶりつきしていると、走行中に無線で連絡を取っていたのだが、その方法が大変現実的でJR西日本のような非現実的で有名無実化する恐れのない方法であり感心したので、そのことについて簡単に書くことにする。
あれっ 停まってる
カーブを曲がって駅に近づいてくる電車を見てから、反対のホームを見たまま待っていたが、列車の到着が遅いのでふと右を見てみると、ちょうど今電車が踏切手前で停止するところだった。特に特殊信号発光機が光ったりしていたわけではなく、踏切内に誰かや何かがいたりあったりしているわけではなく、何が起きているのかは分からなかった。西鉄では踏切には非常ボタンを設置せず障検しか設置しないようなので、非常ボタンのいたずらは考えられない。踏切で何かが起きたか、誤通過防止のATSの速度照査に引っかかったかのどちらかだどう。しばらく停車してからホームに入ってきて停止した。
60~70km/hでノッチオフ
大牟田線の最高速度が100km/hから110km/hにアップしてから乗るのは初めてだったので、110km/hで走るのを楽しみにしてかぶりつきしたが、60km/hだか70km/hだかでノッチオフして惰力で走行し始めた。すぐに運転士が無線で連絡をとり、連絡が終わると再びノッチを入れて110km/hまで加速して通常通りの運転となった。
遅れと安全運転
さて、JR西日本の福知山線での脱線事故では、運転士が無線連絡に気を取られてカーブの手前でブレーキをかけるタイミングを間違えた可能性が示唆されている。現在では、JR西日本では無線で連絡をする場合は走行中ではなく停車中に行うことになっている。しかし、無線連絡のために停止すれば列車はその分遅れるため、停止しないに越したことはない。遅れを出さずに無線連絡をするのであれば、通常通りの運転をしながらでなければならない。西鉄のように通常より大幅に低い速度で走行しながら無線連絡をするのであれば、遅れは完全に停止する場合よりも少なく、また安全性が大きく低下することはない。それどころか、長期的視点に立ち人間の心理から考えると、JR西日本のやり方よりも安全だと言える。
数年後、本当に停止して無線連絡を行っているだろうか?
無線連絡をする場合には停止するという厳しすぎる規則は、どう見ても安全だと思える。しかし、何年も経った時に、厳しすぎる規則が果たして守られているだろうか? そして規則が破られた場合に、果たして限度を示すものがあるだろうか? この2つの疑問が出てくる。まず、どこの会社であったとしても、このような厳しすぎる規則は数年経てば有名無実化するだろう。そして、その場合には当然限度がないため、通常通りの速度で連絡することになるだろう。
ならばどうすれば安全なのか?
人間の心理から考えて、厳しすぎる規則は時が経てば有名無実化し、また一旦規則が破られると限度を示すものが何もなくなる。ではどうすればいいかというと、厳しすぎない適度な規則を作り、それで限度を示せばよい。西鉄のように無線連絡を行う場合には通常よりも大幅に遅い速度で走行する規則にすればよい。この場合はしないという現実離れした厳しすぎる規則にはせず、するとしたうえで限度を示しているので、しないとするよりも結局は安全と言える。例えば、カーブがある場合ははじめからカーブの制限速度よりも低い速度で運転するとか、制限がない場合はどのくらい低い速度で走行するといった基準を決めるのが、逆に安全ということになるのだ。
JR西日本にしてほしい対応とマスコミにして欲しい対応
現状ではマスコミ対策など様々な事情があるので厳しすぎる規則にしているのだろうが、この規則が有名無実化する前にきちんとした基準を再設定してほしい。またマスコミに対しても、いたずらに厳しすぎる対応を求め、現実的な対応でも非難するような対応をし、実際には逆効果になる場合があることも自覚してほしい。しかしまあ、マスコミがそんなことまで考えることなんてまずありえないだろう。そしてJR西日本が基準を本来あるべき姿に再設定することがあれば、それをマスコミには公表しないであろうし、そしていずればれ、新しい基準の方が安全であるにもかかわらず、ひたすら叩かれることは目に見えている。マスコミに叩かれようとも、本来あるべき基準にし、安全になることを期待したい。逆に今の規則を10年も20年もそのままにしておく方が危険なのだから。
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