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キロポストの位置は正確ではない

鉄道関係の論文などの中には、鉄道マニアの視点で面白い情報があったりしますので、そういった情報の紹介をしていこうと思います。

今回の面白い情報は鉄道施設協会誌からです。

  • 日本鉄道施設協会誌 2008年 第8号 P18-P21
  • 在来線マルタイ施行による乗り心地向上対策 山祐典 森滋
  • 線路部門 一般論文

軌道の狂いを修正して突き固めをするマルチプルタイタンパー(マルタイ)という機械がありますが、従来の相対基準整備から復元波形整備に変更するにあたって3つの問題点が出たということで、この改善のための取り組みが書いてあります。3つの問題点としては以下が挙げてあります。

  1. 位置ズレ
  2. 構造物等、不動点への移動量取付け
  3. 線形設定計画作成

マルタイでの2つの軌道整備方法

従来の相対基準整備と復元波形整備の2つの違いを私はよく知りませんが、鉄道総研のこのページ→http://www.rtri.or.jp/rd/openpublic/rd45/kanri/multie/index.htmlで紹介してある相対基準の直し方と測定データを使った直し方のことのようです。

相対基準の直し方では、昔ながらの線路に目をつけて上下左右に歪んでいる場所を真っ直ぐに(あるいは滑らかに曲がる)ようにする方法と同じように狂いを修正していきます。このため、真っ直ぐ(or滑らかにカーブ)になっているかを判断する範囲は真っ直ぐ(滑らかにカーブ)になりますが、全体としてうまい具合に真っ直ぐに(orカーブ)になるとは限らないことになります。

一方測定データを使った直し方では、線路配線切換などの時に測量器具を使って基準となる軌道上の点を指定位置にやるような、出来上がりの線形に合わせて軌道を修正していく方法ということになります。

1.位置ズレの問題

試験車で軌道の狂いを測定しながら走る時には、500mごとにキロポストで位置情報を修正しながら測定していきます。キロポストとキロポスとの間の距離が500mきっかりなっていない場合でも、測定した情報をきっかり500mになるように引き伸ばし(または圧縮)てしまいます。一方マルタイで軌道の整備をしていく時には、例えばこのキロポストから始めた場合、軌道を修正しながらちょうど500m進んだ時に、次のキロポストと違う位置に来ていることになります。例えばデータが引き伸ばされていた場合では、500mより短い踏切や橋梁の手前までのデータを元にマルタイで整備していくと、500mに引き伸ばされたデータに基づき500m進んで踏切や橋梁を超えていたといったことが起こります。これでは測定データを使った直し方は使えません。

この部署が整備する管内でキロポストの位置ズレを調べたところ、最大で25mずれていた箇所があったとあります。対策としては、キロポストや構造物(踏切・橋梁などと思われる)といった基準となる点(デポ)ごとにデータをぶつ切りにして、実際の長さにあわせて拡大・縮小して繋ぎ合わせるということでした。これにより位置ズレは解消したとあります。

ところで、マニアの視点に戻りますが、mackoy氏が開発したBVE Trainsimという無料のトレインシュミレーターがあり、線路のデータをユーザーが自由に作って公開できるようになっていますが、これの線路データ作成を行っているマニアの間で、キロポストの間隔が不正確なのではないか?という疑問が出てくることがあり、また私も間隔が一定ではないように感じた経験もありました。世間一般(とはいってもとても狭いマニアの世界だが)では、キロポストの位置が不正確なわけがない!と、そのような発言は相手にされていませんでしたが、錯覚ではなく、実際にキロポストの位置がずれていることがあるということです。

2.構造物等、不動点への取り付けの問題点

構造物(踏切や橋梁などと思われる)といった不動点の前後でのマルタイ作業において、軌道の移動量が大きいと作業員が不安になって自信を持って作業できず、移動量を小さくする装置を使ってしまい軌道の通りが悪くなる(狂いが残った状態になる)ということがおきていたとあります。

対策としては、マルタイの操作をする場所に計画移動量を表示させるようにして、移動量が大きく表示される時でも、計画移動量が大きいのを見て自信を持って作業ができるようにしたとあります。

3.線形設定計画作成の問題

台帳上の曲線半径と、実測の曲線半径が異なる場合があり、カーブの先に橋梁がある場合は、台帳上の半径で軌道を修正していくと最後に橋梁の前で変なふうに曲げないといけなくなる場合がある、ということです。そのため実測値の半径を使って差し支えない場合は実測値を使うようにしたとあります。また実測データが通りだけのため、他の情報を加えて曲線・緩和曲線・カント逓減区間の始終点をはっきり確認できるようにしたとあります。

対策の結果

これらの対策の結果、乗り心地の改善率が大幅にアップしたとあります。

おわりに

ただの鉄道マニアが、マニアの視点から面白いことが書いてある文献を紹介してみようと思って始めてみたコーナーですが、この文献を紹介したことに意味があるかと聞かれると、ないとしか言いようがありません。私はBVEの路線データを作ろうと調査していたこともありましたが、駅の線路工事ウォッチングの方が楽しくなってそっちばかりやるようになってBVEを作るのはやめてしまいました。しかしながら、BVEの路線データを作っている多くの皆さんが、キロポストの位置がどうしてもおかしいんじゃないか? と思う場合に、そういうこともあるんだなあと自信を持っていただけると幸いです。

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